「絶景かな、絶景かな」。歌舞伎「楼門五三桐」で、盗賊石川五右衛門が南禅寺の三門から見下ろした景色は、あまりにも有名です。
五山の上におかれ、格式の高さを誇る寺院・南禅寺。その周辺には、実は「日本最高峰の豪邸街」と呼ばれる、別荘群が存在します。
今回は、明治時代から現代の大富豪に愛される南禅寺界隈の別荘群を巡りながら、ブルーボトルコーヒー京都カフェや水路閣、山門などの見どころもご紹介します。
富と歴史が織りなす別世界の魅力を、心ゆくまで堪能しましょう!
- 南禅寺界隈が豪邸街と呼ばれる理由とは?
- 南禅寺界隈別荘群はどこにある?
- 【所有者はあの人!?】南禅寺界隈別荘群15邸!
- 智水庵|所有者は元ZOZO社長・前澤友作氏!
- 何有荘|所有者はオラクルCEO、ラリー・エリソン氏
- 菊水|所有者は南禅寺参道 菊水(三甲ゴルフ倶楽部グループ)
- 八千代|所有者は株式会社八千代
- 対龍山荘|所有者は株式会社ニトリ!
- 無鄰菴|もとの所有者は元内閣総理大臣・山縣有朋!現在は京都市が所有
- 真々庵|所有者はパナソニック創業者・松下幸之助!現在もパナソニックが保有
- 洛翠|所有者はユニクロ創業者・柳井正氏!
- 流響院|所有者は仏教教団である真如苑
- 清流亭|所有者は大松株式会社!
- 怡園|所有者はオムロン株式会社
- 碧雲荘|過去も現在も野村グループが所有
- 有芳園|所有者は住友グループ!
- 清風荘|所有者は京都大学
- 旧居然亭(現存せず)
- 【歴史を体感】南禅寺の三大見どころ
- 【南禅寺の新名所】話題の「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」
- 南禅寺界隈へのアクセス
- まとめ|南禅寺界隈で歴史と自然、そして富に触れる旅へ
南禅寺界隈が豪邸街と呼ばれる理由とは?
時を遡ること明治時代。
明治新政府により南禅寺の広大な敷地が接収され、民間に払い下げられることとなりました。
琵琶湖疏水が近く、豊かな水源を確保できるこの地は、山縣有朋や野村財閥など、当時の権力者や財界人に絶好の別荘地と映ったのです。
そして、その流れは現代にも受け継がれ、今もなお、大企業の経営者やIT長者など、限られた人々にとってステータスシンボルとなっています。
南禅寺界隈別荘群はどこにある?
それぞれの別荘群を見ていく前に場所をおさらいしましょう。
南禅寺界隈別荘群を訪れる際は、京都市営地下鉄東西線の蹴上駅が最寄りです。駅を出てすぐ、南禅寺方面への道中に「ねじりまんぽ」と呼ばれる特徴的なトンネルがあります。このトンネルをくぐり抜けると、そこからが南禅寺界隈別荘群のエリアです。
注意点として、多くの別荘は私有地のため、外観を楽しむだけになります。しかし、「無鄰菴」のように一般公開されている庭園もあるので、そちらは実際に中に入って鑑賞することができます。
また、京都大学所有の清風荘のみはやや離れた場所にあります。南禅寺界隈別荘群に数えられますが、徒歩で向かうと1時間弱かかるので、行く場合は公共交通機関を使うのがベター。
【所有者はあの人!?】南禅寺界隈別荘群15邸!
個性豊かな別荘が立ち並ぶ南禅寺界隈。
ここでは、15邸の別荘を所有者情報や歴史とともにご紹介します。
智水庵|所有者は元ZOZO社長・前澤友作氏!
南禅寺の最寄り駅である地下鉄 蹴上駅から歩いてすぐのところにある「ねじりまんぽ」というトンネルをくぐり抜けると左手に現れるのが「智水庵」です。
もともとは尾小屋鉱山で財を成した元金沢藩士、実業家の横山隆興氏の別邸でした。2018年に元ZOZOTOWN社長の前澤氏が購入したことで話題になりました。
維持費は年間数億円とも言われており、その豪華絢爛な佇まいは、まさに現代の桃源郷と呼ぶにふさわしいでしょう。
何有荘|所有者はオラクルCEO、ラリー・エリソン氏
「智水庵」に対して道の反対側に位置するのが「何有荘」です。築100年を超える歴史を誇る「何有荘」は、かつて稲畑勝太郎が所有していました。
現在は、世界的なIT企業・オラクルのCEOであるアメリカ人実業家のラリー・エリソン氏の手に渡り、その購入価格はなんと80億円とも言われています。
菊水|所有者は南禅寺参道 菊水(三甲ゴルフ倶楽部グループ)
明治28年に元呉服商の寺村助右衛門の別荘として建てられ、現在は三甲ゴルフ倶楽部のグループ会社により料亭旅館として運営されています。
八千代|所有者は株式会社八千代
もとは江戸時代の国文学者である上田秋成が晩年を過ごした場所としても知られています。上田秋成はこの地を「うずら居の庵」と称し、余生を楽しんだとされています。現在は、「八千代」として京料理と庭園を楽しめる旅館として営業しています。
対龍山荘|所有者は株式会社ニトリ!
「対龍山荘」は、もとは明治時代の経営者伊集院兼常の別荘として造営されました。その後、呉服商の市田弥一郎が譲り受けて改修し、現在は株式会社ニトリが所有する保養所・宿泊施設となっています。
従業員とその家族が利用できるという、社員思いの施設としても知られています。
無鄰菴|もとの所有者は元内閣総理大臣・山縣有朋!現在は京都市が所有
「無鄰菴」は、第3代・第9代総理大臣を務めた山縣有朋の別荘として明治時代に建てられました。
近代京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛による作庭で「近代日本庭園の傑作」と名高い庭園は必見!
国の名勝にも指定されており、歴史と自然の織りなす美を体感できます。南禅寺界隈別荘群では唯一通年一般公開されているので、京都に立ち寄った際はぜひ訪れてみてください。
真々庵|所有者はパナソニック創業者・松下幸之助!現在もパナソニックが保有
「真々庵」は、パナソニックの創業者・松下幸之助が、昭和36年に松下電器の社長を退任して会長に就任した後に求めた別邸。
数寄屋造りの建物と静寂に包まれた茶室は、松下氏の精神性を今に伝える貴重な空間となっています。
現在は、パナソニックが所有し、迎賓館として使用されているため、一般の方が内部を見学することはできません。
洛翠|所有者はユニクロ創業者・柳井正氏!
「真々庵」と隣接する「洛翠」は、ユニクロの創業者・柳井正氏が所有する別荘です。
元々は明治期の事業家である藤田小太郎氏の別荘でしたが、その後、日本調剤が研修施設として利用。現在は、ユニクロ創業者である柳井正氏が80~90億円で購入したとされています。
建物は解体され、現在も改修工事が続けられており、その全貌は謎に包まれています。
流響院|所有者は仏教教団である真如苑
「流響院」は、三菱財閥の四代目総帥である岩崎小彌太の別荘でした。
庭園には約150本の松や広葉杉など1,000本以上の樹木があり美しい景色を見せます。
現在は、宗教法人である真如苑が保有しています。
清流亭|所有者は大松株式会社!
「清流亭」は、大正初期に建てられました。東郷平八郎によって「清流亭」と命名され、現在は大松株式会社が所有しています。
美しい数寄屋造りの建物と庭園があり、特に糸桜が美しいとされています。
怡園|所有者はオムロン株式会社
「怡園」は、もともと熊本藩主であった細川家の所有で、昭和3年に細川護立が実質的な所有者となりました。
現在はオムロンのゲストハウスとなっています。
碧雲荘|過去も現在も野村グループが所有
「碧雲荘」は、野村財閥の創始者である野村徳七が建造した別荘です。
現在も所有者は野村ホールディングスのため別名「野村碧雲荘」とも呼ばれています。
南禅寺別荘界隈でも最大の約7,000坪もの広大な敷地を誇り、その豪華さは他に類を見ません。
有芳園|所有者は住友グループ!
「有芳園」は、住友家15代目当主・住友友純の別荘でした。
現在も住友グループが所有しており、一般には非公開とされています。
清風荘|所有者は京都大学
「清風荘」は、もともとは第12代、14代総理大臣を歴任した西園寺公望の別邸として造られ、1944年に京都帝国大学(現在の京都大学)に寄贈されました。
現在は、京都大学の迎賓館として使用されています。
旧居然亭(現存せず)
もとは紙業で財を成した第4代中井三郎兵衛の別邸。昭和41年(1966年)に実業家らへ譲渡された際に分解され、一部が除却されたという記録があります。その後の所有者についての詳細は不明となっています。
【歴史を体感】南禅寺の三大見どころ
豪邸街と並び、南禅寺観光の目玉といえば、歴史を感じさせる寺院建築です。
ここでは、南禅寺を訪れたら外せない三大スポットをご紹介します。
【重要文化財】「絶景かな」で有名な三門!
高さ約22mを誇る南禅寺の三門は、石川五右衛門が「絶景かな、絶景かな」と見惚れた場所としてあまりにも有名です。
重要文化財にも指定されているこの門は、その壮麗な建築美はもちろんのこと、楼上から望む京都市内のパノラマビューも圧巻!
春は桜、夏は緑、秋は紅葉と、季節ごとに異なる表情を見せるのも魅力の一つです。
【現役の水路橋!】赤レンガ造りのアーチ橋「水路閣」
南禅寺を訪れたら、ぜひ立ち寄りたいのが、境内の南東に位置する赤レンガ造りのアーチ橋「水路閣」です。
1890年に完成したこの橋は、琵琶湖疏水の分線として、今もなお現役で使われているというから驚きです!
歴史を感じさせるレトロな雰囲気が漂う水路閣は、写真スポットとしても人気を集めています。アニメ「けいおん」のオープニングで登場したことでも有名になりました。
【歴史的建造物が集結】方丈や天授庵も必見!
南禅寺には、三門や水路閣以外にも見どころがたくさんあります。
例えば、国の名勝に指定されている「方丈」。
江戸時代初期に建てられた大方丈と、伏見城から移築された小方丈からなり、桃山文化の華やかさと禅寺の静寂が調和した空間美を堪能できます。
また、南禅寺の中で最も由緒ある塔頭寺院である「天授庵」もおすすめです。
枯山水庭園と池泉回遊式庭園という2つの顔を持つ庭園は、四季折々の美しい景観を見せてくれます。
【南禅寺の新名所】話題の「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」
南禅寺から徒歩わずか5分の場所に、築100年を超える京町家をリノベーションした「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」があります。
長坂常氏率いる「スキーマ建築計画」による設計
設計を手掛けたのは、数々の建築賞を受賞している建築家・長坂常氏が率いる「スキーマ建築計画」。
京町家の風情とモダンなデザインの融合
高い吹き抜けの天井や重厚な柱など、京町家の趣を残しつつも、ガラス張りの開放的な空間やスタイリッシュなインテリアが調和した、ここでしか味わえない空間が広がっています。
【極上の体験】「The Lounge -Kyoto-」
ブルーボトルコーヒー京都カフェには、コーヒー愛好家の心を掴む特別な空間があります。
それが完全予約制の「The Lounge -Kyoto-」です。世界初となるブルーボトルコーヒーのコースメニュー「コーヒーコース -3種のコーヒーと季節のデザート-」を提供し、厳選されたシングルオリジンコーヒー豆を使用した3種のコーヒーと、季節に合わせて変わる2種のデザートを楽しむことができます。
お一人様8,910円(税込)のこの贅沢な体験は、10歳以上のお客様のみ利用可能です。
2024年秋季営業(10月1日〜12月2日)の予約を現在受け付けています。アレルギー情報や一部アルコールを含むメニューについても配慮がなされており、ノンアルコールへの変更も可能です。
「The Lounge -Kyoto-」は、南禅寺界隈の歴史ある環境の中で、最先端のコーヒー文化を体験できる特別な空間として、京都観光の新たな魅力となっています。
ご予約は公式サイトからお取りください。
The Lounge -Kyoto- 公式サイト
ゆったりとくつろげる空間で至福のひとときを
こだわりのコーヒーやスイーツを味わいながら、ゆったりとくつろげる「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」。
南禅寺観光の休憩にもぴったりです。
南禅寺界隈へのアクセス
南禅寺へは、公共交通機関を使うのが便利です。
電車の場合:
京都市営地下鉄東西線「蹴上駅」1番出口より徒歩約10分
バスの場合:
京都市バス「南禅寺・永観堂道」停留所下車、徒歩約10分
まとめ|南禅寺界隈で歴史と自然、そして富に触れる旅へ
今回は、京都・南禅寺界隈の魅力を、別荘群、歴史的建造物、話題のカフェと、さまざまな角度からご紹介しました。
明治時代から現代の大富豪たちに愛され続ける別荘群、重厚感あふれる歴史的建造物、そして、スタイリッシュなカフェ…。
南禅寺界隈には、歴史と自然、そして富が織りなす、他に類を見ない魅力が詰まっています。
ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか?